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今日で就職活動を終えた。
幸いにも今年は団塊の世代と交代的に僕らの世代が社会に出るということで、就職活動はすこぶる快調であり、僕を含め研究室の同級生は進学組を除いて3月下旬ごろには全員内々定を獲得していたと思う。僕はその中でも比較的長期にわたって活動をしていたが、今日十分に満足のいく活動結果が得られたので、就職活動を終える。ここのブログにおける記事でも度々僕の就活に対する思いを綴ったが、今回でそれもおしまいとなった。
超売り手市場と呼ばれた今年の就活は、僕にとっては絶好の機会であり、これを逃すのはFW柳沢くらいしかいないわけで、TVを観ながら不甲斐ない柳沢に叫び狂う僕は当然の如く強気に就活を進めた。強気くらいでちょうどいい選考の甘さなんだ。説明会で言われるのは、英語は入社後になんとかなりますよ、コミュニケーション能力さえあればなんとかなる、ぜひ一緒に働きましょう、みたいな気を使われた言葉達。人事の人は大抵いい人。全然活かせそうにない僕の能力もなんとか大活躍しちゃいそうな夢あふれる企業業績。どこも景気がいい。なんとなくでも1次面接は受かるような勘違いしやすい選考。結果的に最終面接で落ちるような、学生側を困らすことにつながりやすい。今までの思い入れはどこに当てればいいんだと悩む。
そんな今年。僕は何社受けただろうか。数えてみた。合同説明会を除く、企業説明会参加を含めて数えると16社。選考に参加したのが12社。たぶん、技術者を目指す学生のなかでは多い方だと思う。だって12社も受ける前に自分の第一志望に受かるような時世だもの。
なんで僕は12社も受けたんだろう。
それは第一志望という企業がなかったからだろう。就活を始める前、僕は自分自身にある程度の絶望とある程度の期待を持ち、そんなにでかい企業は無理だけど、中小企業なら十分に受かるだろ、と思ってた。そんなわけで、自分に変な抑制力を働かせて、興味津津の企業にはなぜか潜在的に受からないだろうというネガティブな思想を持っていた。つまり志望度が高ければ高いほど、受からないと思いこむところがあった。大企業を受けるときは、あくまで練習の気持ちで受けた。落ちる時もあれば受かる時もあり、合否に関係なく面接の場数を踏み、就活経験を高めることに専念した。(でも受かったら万歳という思いも多少はあった) 第一志望がないと手当たりしだい可能性を見出したくなるわけで、少しでも興味を感じた技術を持つ企業に対しては規模を問わず出来るだけ選考に参加して、選考途中で自問していくかたちで、志望度を確かめた。もちろんスケジュールはぎっちり埋まる。3月のスケジュール表は自慢したいくらい埋まってる。(・・・3月下旬は忙しさに憂鬱になりキャンセルを連発した) おかげで場数は山ほど踏めて4月になると面接にもなれて、どこに行きたいかも言えるようになった。ほとんど反射的に志望動機を言えるようになった。場数はとても重要である。後輩のためにアドバイスを言うが、第一志望の前に志望度の低い企業の面接をいくつか受けておくべきだ。僕の場合は10回くらい受けて緊張を楽しめるようになったと思う。
僕は幅広く企業を受けた。図らずも4月下旬まで選考を受けて、入社を考えていた企業は4社で、それは自動車、航空機、船舶、モーターという男の子が好きそうなジャンルの企業職種が残った。仕事の内容はどれも近くない。なぜか残った。面接でもよく訊かれた(面接では企業名までどこを受けてるのか訊かれる)がなんにでも興味を持った結果なので、そのまま説明した。自分の将来の職種にこだわりがない証明かもしれない。(数か月前までは航空宇宙関連の企業しか頭になかったのに、変な絶望のせいで)
結局、僕は流行に乗っかっていくつか内々定を揃えた。おかげさまでそうなりました。いくつか揃えて感じるこの虚しさ。自慢げだとかいやみのようだとか思われるかもしれないが、本当に虚しい。(僕は自慢も自虐も常日頃するタイプだと思う。)結局行きたい企業に受からなければ、何個そろえようが虚しいだけで、無意味だ。自動車関連の会社の内定者懇親会に出席したとき、僕はなんで自動車に興味がないのにここに来たんだろうと心底思った。もしここしか受からなかったら、僕はここに行くのだろうか。自動車が好きな人はきっとこの会社で楽しくやれるだろうけど、僕はそうじゃなかった。たぶん夢を見て浪人するだろうと思った。じゃあなんで選考を受けたんだ。可能性を確かめるために受けた。そしたら受かった。そんな時代だ。ありがたい。ほんとうに
4月下旬に合否の結果が立て続けにでた。特に今日2個出た。1個は内定承諾するつもりの企業、もう1個は前々回の記事で貶した企業。内定承諾するつもりの企業は数日前から大本命の第一志望で、合否の連絡が期限の1週間ぎりぎりまでこないから、てっきり落ちてるもんだとばかり思って、今日はとても落ち込んでいた。さんざん貶してた企業に内々定出しますと言われ、もうここでいいか、ここに入ろうと思うくらい落ち込んでいた。だから、今日はその貶してた企業の工場を一人で外から一回りして見学してきた。貶した部分を好きになろうと思ってそうした。つくづく悲しい行動をした。内定をコレクションして、結局自分の行きたい企業には入れない人間なんだ俺は・・・と思いながら工場を覗いて回った。無表情で研究室に帰ってきた夜、実験を終えて日報を書いていたとき、電話がかかってきて大本命の企業に受かったとの連絡が来た。貶してた部分を好きになろうとするのはやめた。必要がなくなった。研究室の前で飛び跳ねてガッツポーズした。母親にメールした。帰りにウナギを買って一人で酒を飲みながら食べた。うまい。
超売り手市場だろうと、志望度の高い企業に受かれば泣きそうになるくらいうれしいものだ。楽勝だと思えるのは選考の初めだけ、最終面接で2回連続で落ちた時は自分を呪った。自分の性格を貶した。氷河期と比べれば楽楽なのかもしれないが僕にとっては精いっぱい頑張った成果であって、精神的になににも代え難い経験を得ることができた。支えてくれた人に感謝の気持ちがあふれてくる。就職は自分のためじゃなく、自分の将来を囲む人間たちのためを考えてするもんだと思った。
今日で就活おしまい。おつかれさま俺。
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